「憲法21条改正」と『人権擁護法案』で"言論統制社会"が実現する!
「第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」
これの意味が、お分かりであろうか?
かつて、私は小沢一郎は売国奴?いや、安倍晋三こそが真の「売国政治屋」だ!~~「自民改憲論」を斬る! と題する記事を、このブログに投稿した。
当時の私は「もしも、安倍政権が誕生したら、言論弾圧が行われるかもしれない」と考えていた。
そして、実は、その「最悪のパターン」が実現しようとしているのである。
第四十一条 人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、次に掲げる措置を講ずることができる。
一 人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれのある者及びその関係者(第三号において「被害者等」という。)に対し、必要な助言、関係行政機関又は関係のある公私の団体への紹介、法律扶助に関するあっせんその他の援助をすること。
二 人権侵害を行い、若しくは行うおそれのある者又はこれを助長し、若しくは誘発する行為をする者及びその関係者(次号において「加害者等」という。)に対し、当該行為に関する説示、人権尊重の理念に関する啓発その他の指導をすること。
三 被害者等と加害者等との関係の調整をすること。
四 関係行政機関に対し、人権侵害の事実を通告すること。
五 犯罪に該当すると思料される人権侵害について告発をすること。
2 人権委員会は、委員、事務局の職員又は人権擁護委員に、前項第一号から第四号までに規定する措置を講じさせることができる
第四十二条 人権委員会は、次に掲げる人権侵害については、前条第一項に規定する措置のほか、次款から第四款までの定めるところにより、必要な措置を講ずることができる。ただし、第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等については、第六十三条の規定による措置に限る。
一 第三条第一項第一号に規定する不当な差別的取扱い
二 次に掲げる不当な差別的言動等
イ 第三条第一項第二号イに規定する不当な差別的言動であって、相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの
ロ 第三条第一項第二号ロに規定する性的な言動であって、相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの
三 次に掲げる虐待
イ 国又は地方公共団体の公権力の行使に当たる職員が、その職務を行うについてする次に掲げる虐待
(1) 人の身体に外傷が生じ、又は生ずるおそれのある暴行を加えること。
(2) 人にその意に反してわいせつな行為をすること又は人をしてその意に反してわいせつな行為をさせること。
(3) 人の生命又は身体を保護する責任を負う場合において、その保護を著しく怠り、その生命又は身体の安全を害すること。
(4) 人に著しい心理的外傷を与える言動をすること。
ロ 社会福祉施設、医療施設その他これらに類する施設を管理する者又はその職員その他の従業者が、その施設に入所し、又は入院している者に対してするイ(1)から(4)までに掲げる虐待
ハ 学校その他これに類する施設を管理する者又はその職員その他の従業者が、その学生、生徒、児童若しくは幼児又はその施設に通所し、若しくは入所している者に対してするイ(1)から(4)までに掲げる虐待
ニ 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待
ホ 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。次号において同じ。)の一方が、他方に対してするイ(1)から(4)までに掲げる虐待
ヘ 高齢者(六十五歳以上の者をいう。)若しくは障害を有する者(以下この号において「高齢者・障害者」という。)の同居者又は高齢者・障害者の扶養、介護その他の支援をすべき者が、当該高齢者・障害者に対してするイ(1)から(4)までに掲げる虐待
四 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関又は報道機関の報道若しくはその取材の業務に従事する者(次項において「報道機関等」という。)がする次に掲げる人権侵害
イ 特定の者を次に掲げる者であるとして報道するに当たり、その者の私生活に関する事実をみだりに報道し、その者の名誉又は生活の平穏を著しく害すること。
(1) 犯罪行為(刑罰法令に触れる行為をいう。以下この号において同じ。)により被害を受けた者
(2) 犯罪行為を行った少年
(3) 犯罪行為により被害を受けた者又は犯罪行為を行った者の配偶者、直系若しくは同居の親族又は兄弟姉妹
ロ 特定の者をイに掲げる者であるとして取材するに当たり、その者が取材を拒んでいるにもかかわらず、その者に対し、次のいずれかに該当する行為を継続的に又は反復して行い、その者の生活の平穏を著しく害すること。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又はこれらの場所に押し掛けること。
(2) 電話をかけ、又はファクシミリ装置を用いて送信すること。
五 前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害であって、その被害者の置かれている状況等にかんがみ、当該被害者が自らその排除又は被害の回復のための適切な措置を執ることが困難であると認められるもの
2 人権委員会は、前項第四号に規定する人権侵害について、調査を行い、又は同項に規定する措置を講ずるに当たっては、報道機関等の報道又は取材の自由その他の表現の自由の保障に十分に配慮するとともに、報道機関等による自主的な解決に向けた取組を尊重しなければならない。
これは、2005年に自由民主党と公明党が提出した、『人権擁護法案』の一部である。
かつて、私はこう述べた。
「かつて自民党は世論の人気を味方につけて「郵政選挙」で圧勝し、『人権擁護法案』反対派を追放しました。そして、再び保守派に人気の高い「憲法改正」で選挙に勝利、その結果『人権擁護法』を制定させようと企んでいるのです!」
2012年3月のことである。
それから、一年以上たった今、私の危惧通りに物事が進んでいる。
先ほどの『人権擁護法案』の内容は、注意深く読むと、その解釈次第では、「とんでもない運用」が行われる恐れがある。
例えば、「人権侵害を行い、若しくは行うおそれのある者又はこれを助長し、若しくは誘発する行為をする者及びその関係者(次号において「加害者等」という。)に対し、当該行為に関する説示、人権尊重の理念に関する啓発その他の指導をするこ」とある。
これは、「この人は人権侵害をする可能性があるから、指導(=再教育)をしよう」ということである。
人権擁護委員が、「人権侵害をする可能性がある」「差別主義者と関係があるかもしれない」と、思い込むだけで、「再教育」を行えるのだから、かなり非民主的な法律、戦前の予防拘束を正当化しかねないものである。
さらにいうと、「児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待」も人権侵害行為とされているが、『児童虐待防止法』では、単なる「しつけ」でも「児童虐待」とみなされる余地があるものである。
「児童虐待」の認定は、児童相談所(=厚生労働省)が行う。彼らは決して教育の専門家ではないから、「しつけ」を「虐待」と判断する余地は十分にあるうえに、人権擁護委員に至っては、法務省の所属である。
つまり、人権擁護委員とは、検察と同じ穴のムジナなのだ。
仮に、人権擁護委員が不当行為をしても、検察が「不起訴」とすれば、終わりである。陸山会事件で捜査報告書を捏造した検察官が不起訴になった例を見ると、これは決して絵空事ではない。
だが、ここまでは、あくまで、人権擁護委員が「暴走」した時の話である。
実は、『人権擁護法案』には、もっと恐ろしい条項があるのである。
問題は、人権擁護委員による、「特別救済手続き」と、「罰則規定」だ。
第四十四条 人権委員会は、第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。
一 事件の関係者に出頭を求め、質問すること。
二 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。
三 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。
2 人権委員会は、委員又は事務局の職員に、前項の処分を行わせることができる。
3 前項の規定により人権委員会の委員又は事務局の職員に立入検査をさせる場合においては、当該委員又は職員に身分を示す証明書を携帯させ、関係者に提示させなければならない。
4 第一項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
これは、いかにも「人権を守るために規定」に見えるが、この「特別調査」には裁判所の令状は不要であり、事実上、警察以上の権限を人権擁護委員が持っていることになる。(表向きは「犯罪捜査ではない」となっているが・・・・)
さらに言うと、この『人権擁護法案』第四十四条には、ご丁寧にも、罰則規定までもが用意されている。
第八十七条 第十三条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第八十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。
一 正当な理由なく、第四十四条第一項第一号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して出頭せず、又は陳述をしなかった者
二 正当な理由なく、第四十四条第一項第二号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して文書その他の物件を提出しなかった者
三 正当な理由なく、第四十四条第一項第三号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
四 正当な理由なく、第五十一条(第七十一条第二項又は第七十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による出頭の求めに応じなかった者
何度も言うが、人権擁護委員も検察と同じ法務官僚である。
人権擁護委員と検察が組んだら、どんな人間でも捕まえることができるようになってしまう危険性がある。
現在、自由民主党は、『人権擁護法案』を提出する気はないとしている。
しかし、それでは、もう一度、自民党の憲法21条の改正案を読んでいただきたい。
「第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」
「表現の自由」に、なぜか、「公益及び公の秩序」という、制限がついている。
普通、「公の秩序を害することを目的にした活動」のことを「犯罪」とよぶ。
だが、どうも、自民党はそんなつもりでこの条項を作ったわけではないらしい。
『朝日新聞』によると、自民党は、一応、「反国家的な言論を取り締まるものではない」とし、「ヘイトスピーチや差別報道を禁じることが目的」としている。
実は、『人権擁護法案』では、マスコミの差別報道を「人権委員会」が規制する条項もあるのだが、憲法上の問題もあるためか、罰則規定は存在しない。
しかし、もし、自民党が憲法を改正すると、『人権擁護法案』よりも、もっととんでもない法律が成立する余地がある。
そして、我々が何かの組織を作ると、「憲法違反」(「法律違反」ですら、ない)になる可能性も十分にあるのである。
現に、わが国では、野田政権の頃、閣僚の街頭宣伝に対して、「反民主プラカード」や「脱原発プラカード」を持った人が逮捕される事件があった。
http://www.youtube.com/watch?v=3X2r29iAgto&feature=player_detailpage#t=343s
また、安倍政権に入ってからも、類似の事件が起こっている。
詳しくは、植草一秀先生のほんとに怖い言論弾圧日本がすでに始まっている を読んでいただきたい。
未成年の選挙活動は禁止されているが、これは決して選挙運動ではない。一人の市民としての「抵抗権」の行使である。
もし、安倍政権が憲法を改正したら、我々国民がとりうる手段は、一つだけだ。
それは、人間の「自然権」として与えられたものであり、過去にも、諸外国では実施されていることである。
「革命」である。